囲碁の日
「囲碁の日」は「い(1)ご(5)」の語呂合せで、2013年に日本棋院が制定しました。
日本棋院によると「囲碁を今後さらに普及・拡大する」という事を目的としており、毎年のこの日には「打ち初め式」として、>囲碁ファンと棋士との交流イベントが開催>されているようです。
AI囲碁がプロに勝てない理由
“囲碁”とは交互に盤上に石を置いていき自分の石で囲んだ領域の広さを2人で争うボードゲームの一種で、単に“碁”とも呼ばれます。
2人のプレイヤーが碁石と呼ばれる白黒の石を、通常19×19の格子が描かれた碁盤と呼ばれる板へ交互に配置します。
一度置かれた石は相手の石に全周を取り囲まれない限り、取り除いたり移動することはできません。
ゲームの目的は自分の色の石によって盤面のより広い領域を確保する(囲う)ことです。
発祥は中国と考えられ、少なくとも2000年以上前から東アジアを中心に親しまれてきました。
そうした文化・歴史の中で“爛柯(らんか)”をはじめとしたさまざまな別称があります。
日本でも平安時代から広く親しまれ、枕草子や源氏物語といった古典作品にも幾度となく登場します。
戦国期には武将のたしなみでもあり庶民にも広く普及し、江戸時代には家元四家を中心としたプロ組織もでき、興隆の時期を迎えました。
明治以降も引き続き広く親しまれ、近年ではインターネットを経由して対戦するネット碁も盛んになっています。
“駄目”、“布石”、“捨て石”、“定石など”数多くの囲碁用語が、そのまま日本語の慣用句としても定着していることからもいかに囲碁が浸透していたかが分かりますね。
ネット対戦などが発達し実際に所持している人は少なくなりましたが、通常碁石は白と黒のものが用いられます。
この白と黒の碁石は実は微妙にサイズが違い、白い碁石は直径21.9mmなのに対して黒い碁石は22.2mmとなっているのです。
というのも白い色は膨張色ですので全く同じサイズで作ってしまうと人間の目には少し大きく写ってしまい、対局中だと白い色の方が広く見えてしまうため正しい優劣の判断が付きにくくなってしまいます。
そこで見た目のサイズ感を合わせるために、あえて黒い碁石は大きく作られています。
近年では人間対AIのボードゲームが盛んに行われるようになり、チェスを始めとしてオセロ、将棋、シャンチーでも人間がAIに敗北しています。
ですが囲碁だけは未だコンピュータはなかなかプロに勝てず、2005年時点ではアマチュア初段の域すら到達できていないとされました。
2008年にはエキシビションマッチで初めてコンピュータが勝利しましたが、2012年の電気通信大のイベントや2014年の第1回囲碁電王戦ではいずれもコンピュータが全敗しています。
なぜ囲碁だけコンピュータ側が進歩していないのかというと、その盤面の複雑さが影響しているといわれています。
将棋やチェスでは駒の損得や局面の状態に応じた評価関数が作りやすく、オセロにおいても隅や辺の重要な部分のパターンで評価関数が作成されてきました。
しかし囲碁にはそうした評価方法が存在せず全ての石の価値が平等であり、オセロの隅のように大きな重みをもつ箇所も存在しません。
ボードゲームの複雑性を表す言葉として“ゲーム木のサイズ”というものがあり、考えられるゲームの展開を図形にしていくとどんどん末広がりになることからつけられた名前だと思われます。
この“ゲーム木のサイズ”は将棋で10226、チェスで10123、シャンチーで10150と見積もられるのに対し、囲碁では10400と非常に複雑なので、囲碁の強いコンピュータを作るのはとても困難だったのです。
2006年には従来の方法とは別のアプローチから研究が進み、コンピュータの棋力は急激に上昇、2012年ごろにはアマ六・七段程度の棋力にまで達しましが、そこからは棋力の伸びが再び停滞します。
2015年の段階でもコンピュータがプロに勝つにはまだ10年以上かかると言われていました。
が、2016年にさらに新しい技術を取り込んだ囲碁コンピュータが誕生します。
ヨーロッパのトップ棋士、韓国のトップ棋士に勝利、中国のトップ棋士との3番勝負に3連勝しその実力を見せつけました。
このコンピュータは“AlphaGo”と呼ばれ、数千万の棋譜による学習の後、数百万の自己対戦を繰り返し強化されたもので、さすがにその経験値の差は人間には埋められなかったのでしょう。
“AlphaGo”の登場は、コンピュータがプロを上回るのはまだまだ先だろうと考えていた囲碁界に大きな衝撃を与えました。
“AlphaGo”の技術を使用した囲碁AIはプロ棋士を凌駕する棋力を有するようになり、“AlphaGo”をはじめとする囲碁AIの様々な手法は従来の定石や布石に大きな影響を与え、新たな布石や定石の流行を生むようになったのです。
日本でも囲碁を題材とした漫画が登場し、若い世代にも人気のあるゲームとなっています。
いつか“AlphaGo”を打ち負かす棋士が誕生するかもしれませんね。
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