さくらの日
「さくらの日」は3×9(さくら)=27の語呂合せと、七十二候のひとつ「桜始開」が重なる時期であることから、1992(平成4)年に日本さくらの会が制定しました。
日本の風土と深く関わってきた桜を通して、日本の自然や文化について関心を深める日とされています。
さくらんぼのなる桜とそうでない桜
“桜”はバラ科モモ亜科スモモ属(サクラ属)の落葉樹の総称で、日本文化にとても馴染みの深い植物です。
現在ヨーロッパ・西シベリア・日本・中国・米国・カナダなどの主に北半球の温帯の広範囲に分布しており、英語では本来“cherry blossom”と呼ぶところを日本文化の影響から、“sakura”と呼ばれることも多くなってきています。
その果実は“さくらんぼ(桜桃)”として広く食用として利用されています。
ですが日本に広く植えられている桜のほとんどは“ソメイヨシノ”という品種であり、これはあくまでも観賞用の桜です。
ソメイヨシノは江戸時代に植木職人がオオシマザクラとエドヒガンを交配して作った観賞用品種で、自家受粉が出来ないため実をつけにくく、仮につけた場合でも最大でも1cm程度の実で、酸っぱい、苦い、渋いなどの味のため食用には向きません。
毒性はないので口に入れても問題ありませんが、美味しくないので口にしないほうが良いでしょう。
では食用のさくらんぼのなる桜とはどんな品種なのでしょうか。
寒い地方で育つセイヨウミザクラ(西洋実桜、甘果桜桃)や、暖かい地方でも育ちやすいシナミザクラ(支那実桜、暖地桜桃、中国実桜)がいわゆる“さくらんぼ”のなる桜になります。
これらの桜は直径2cm以上で甘い実をつけますが、その花は白くて地味でなため鑑賞には向きません。
特にセイヨウミザクラは育てにくく、寒い地方で手間暇をかけなければいけないためブランドもののさくらんぼが多く、有名な“佐藤錦”や“ナポレオン”などの品種が含まれます。
古来より桜は穀物の神が宿るとも稲作神事に関連していたともされ、農耕民族である日本人にとって昔から非常に大切なものでした。
“万葉集”には色々な植物が登場し、桜もその一つですが、中国文化の影響が強かった奈良時代は和歌などで単に“花”といえば梅のことであり、梅の歌118首に対し桜の歌は44首と少ないものでした。
その後平安時代に国風文化が育つに連れて徐々に桜の人気が高まり、“花”といえば桜を指すようになります。
豊臣秀吉は醍醐寺に700本の桜を植えさせ、慶長3年3月15日(1598年4月20日)に近親の者や諸大名を従えて盛大な花見を催しました。(醍醐の花見)
江戸時代には河川の整備に伴って、護岸と美観の維持のために柳や桜が植えられ、また園芸品種の開発も大いに進み、さまざまな種類の花を見ることができるようになります。
江戸末期までには300を超える品種が存在していたようです。
明治維新後に大名屋敷の荒廃や文明開化・西洋化の名の下に多くの庭園が取り潰されると同時に、そこに植えられていた数多くの品種の桜が切り倒され燃やされてしまいました。
これを憂いた駒込の植木・庭園職人の高木孫右衛門は多くの園芸品種の枝を採取し自宅の庭で育て、これに目を付けた江北地区戸長(後に江北村村長)の清水謙吾が村おこしとして荒川堤に多くの品種による桜並木を作り、これを嚆矢(こうし)として多くの園芸品種が小石川植物園などに保存されることになりその命脈を保ちます。
桜は突然変異の多い植物としても知られており、花弁や雄しべの変化、花の大きさ、色の変化、実の増減などが多分に見られ、品種改良も多く行われきました。
ソメイヨシノはその代表であり、比較的に変性を起こしやすい種であるエドヒガン系の種と日本固有のオオシマザクラの雑種を交配して生まれた品種であり、その原木の接ぎ木を繰り返すことによってその数を増やしたクローン桜となります。
現在、固有種・交配種を含め600種以上の品種が存在するとされる桜は、一代限りの突然変異も稀ではないとされていますので、品種の違う桜を2本植えれば将来とんでもない桜ができるかもしれませんね。
食用のさくらんぼの種からも育てることは可能ですが、発芽率は低いため非常に難しいようです。
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