マリモの日
「マリモの日」は1952(昭和27)年のこの日に、北海道阿寒湖のマリモが国の特別天然記念物に指定されたことが由来です。
同時に、富山湾のホタルイカ群遊海面、鹿児島県出水市のナベヅル、高知のオナガドリ等も国の特別天然記念物に指定されました。
お土産のマリモは人工的に丸めたもの
“マリモ(毬藻)”は球状集合体を作ることで知られている淡水性の緑藻の一種です。
球状体一つがマリモの一個体単位というわけではなく、この球状体を構成する細い繊維(糸状体)がマリモの個体としての単位であり、多くのマリモは岩などに付着して生活し球状の集合体を作りません。
北海道の阿寒湖に生育するマリモは美しい球状体を作るため日本の特別天然記念物に指定されており、1897年に札幌農学校(現北海道大学)の植物学者であった川上瀧彌が阿寒湖の尻駒別湾で発見し、その形から“マリモ(毬藻)”という和名をつけました。
見た目は柔らかそうですが実際には硬い藻であり、手で触れるとチクチクとした感触があるそうです。
世界では1753年にスウェーデンの学者であるカール・フォン・リンネがスウェーデンのダンネモーラ湖からマリモを採取し学名を付けています。
淡水産藻類としては耐冷性と耐暗性も非常に強く、淡水と共に凍結した場合では−20°Cで1日程度の凍結であれば耐えることができます。
阿寒湖は真冬になると完全に結氷し、60cmの厚さにもなる氷の下にマリモは閉じ込められても死滅はしません。
逆に暑さに非常に弱く35℃が限界であるとされるため、販売されているマリモを購入した場合は夏場の対策として冷蔵庫での保管が良いと考えられます。
マリモは特別天然記念物ですので販売はもちろん、勝手に採取することも許されていません。
ですので観光地などでお土産用に販売されているマリモは“養殖マリモ”と呼ばれていますが、これは地元漁協が釧路湿原国立公園内のシラルトロ湖で採取したマリモ糸状体を人工的に丸めただけのものであり、実際に養殖をして増やしたものではありません。
ですのでシラルトロ湖でも材料となるマリモが減少し、絶滅の危機に瀕しています。
一方で“マリモの枯渇を予測し10数年に渡る研究の結果養殖に成功した”とし、養殖マリモの商品化ができるようになったと発表している企業も存在するようです。
富士五湖周辺で“富士まりも”などの商品名で販売されている養殖マリモも、実際には上記のシラルトロ湖のマリモを丸めたものであり、富士五湖に生息する“フジマリモ”ではありません。
“天然まりも”と称している商品も当然阿寒湖のマリモではなく、ロシアなど海外から輸入されたものになります。
国外ではアイスランドのミーヴァトン湖やエストニアのオイツ湖などで球状の集合体が確認され、ヨーロッパ北部の諸国・ロシア・アメリカなど北半球に広く分布している種であることが近年になってわかりました。
これらはその土地に以前から生息していたのではなく、北半球のマリモの全てが日本の湖のマリモを起源とする可能性が高いことが2011年12月釧路市教育委員会マリモ研究室の研究によって判明しました。
阿寒湖でマリモを食べた渡り鳥などが他の地域へと運んだ可能性が高く、糞に含まれたマリモの細胞や身体に付着していた胞子が発芽し、繁殖する条件を満たしていたということです。
ですが世界最大の生息地ミーヴァトン湖では2010年代に入り水質汚染などから球状マリモが壊滅的な被害を受け、2014年では、世界で阿寒湖北側チュウルイ湾が唯一の球状マリモの群生地だいわれています。
このようにマリモは非常に水質汚染に弱い生物であり、環境省のレッドリストにも分類されています。
とても珍しい生き物ですので環境に配慮して、個体数を減らさないように努めましょう。
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