デコポンの日
「デコポンの日」は1991(平成3)年のこの日に柑橘類の一種・デコポンが初めて出荷され、東京の果実市場で取引されたことが由来で、日本園芸農業協同組合連合会が制定しました。
デコポンは本来は失敗作とされていた
“デコポン”とは柑橘類の品種の名前ではなく熊本果実連が所有する登録商標のことであり、全国統一糖酸品質基準を持つ日本で唯一の果物の登録商標です。
全国の柑橘関係農協県連合会を通じて出荷された不知火のうち、高品質を保つ一定の基準(糖度13度以上、酸度1度以下)をクリアしたものだけがその名を使用することができます。
よって熊本県産以外のものもありますが、生産者個人での販売や柑橘関係農協県連合会を経由しない販売についてはデコポンの名称は実は使用できません。
元々は1972年、長崎県にある農林水産省果樹試験場が“清見”と“ポンカン”を交配させて作ったものですが、見た目の悪さと育てにくさから農水省は量産に不向きと判断し品種登録はされませんでした。
本来その時点で廃棄されるかと思いきや、苗木を持ち帰ったという人物が存在し、密かに栽培が続けられていたのです。
形は悪いうえに収穫したばかりのものは酸味が強かったものの、しばらく放置した実を後日食べてみると甘くなっていることが発見、さらに食味が良いことから徐々に広まっていきます。
その後、苗木は島原湾を挟んだ熊本県に渡って不知火町で栽培、“不知火”として生産が本格化し、2011年時点での全国の生産量は約4万4800tもありました。
1991年から不知火系のうち糖度13度以上のものを選択して“デコポン”の名称で商品化・出荷が開始され、歪な外見上の特徴を逆にセールスポイントにしようとして命名されたそうです。
この基準を満たさなかったものはそのまま“不知火”として流通します。
当初は熊本県産の“不知火”以外にはこの“デコポン”の名称をつけることが禁止されていました。
そこで他県で栽培された不知火は“ヒメポン(愛媛)”、“キヨポン(広島)”、“フジポン(静岡)”、“ラミポリン(鹿児島)”と様々な名称で呼ばれていたのですが、その名称の多さが市場や消費者の混乱を招く事態になったのです。
そこで関係機関などで協議された結果
・糖度13度以上、クエン酸1.0%以下
・JAに加盟している生産者
のものは産地に関わらず“デコポン”の名称を使用してよいことになりました。
もし苗木を持ち帰った人物がいなければ“デコポン”というものは日の目を見ることはなかったのかもしれません。
なお、デコポンの突起の部分が“デコ”と呼ばれる部分なのですが、このデコの有無は美味しさには関係ありませんので、気にしないでおきましょう。
また、不知火として販売されているものでも“デコポン”を名乗っていないだけで、糖度の条件を満たしているものもありますので、探してみてはいかがでしょうか。
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