ビスケットの日
「ビスケットの日」は1855(安政2)年のこの日にパンの製法を学ぶ為に長崎に留学していた水戸藩の柴田方庵が、同藩の萩信之助にパン・ビスケットの製法を書いた「パン・ビスコイト製法書」を送ったことから、1980(昭和55)年に全国ビスケット協会が制定し、翌年から実施しています。
なおこの「パン・ビスコイト製法書」がビスケットの製法を記した日本初の文書とされています。
また、ビスケットの語原がラテン語で「二度焼かれた物」という意味の「ビス・コクトゥス(bis coctus)」であることから、「に(2)どや(8)く」の語呂合せの意味も持たせているようです。
ビスケットとクッキーの違い
“ビスケット”とは小麦粉を主材料に焼いた洋菓子で、小麦粉に牛乳、ショートニング、バター、砂糖などを混ぜて、サクサクした食感に焼いたものになります。
本来の英語圏では日本でいうところのクッキーと区別は実は存在せず、イギリスでは両者をビスケットと呼び、アメリカでは両者をクッキーと呼び、米国のビスケットは英国のスコーンに近いもので日本ではKFCなどを通して浸透しています。
このアメリカで言うところのビスケットとは生地にショートニングやラードを加え、重曹とベーキングパウダーで膨らませた、外側はサクサク感で内側はふっくらとした食感のあるパンのことであり、英国のプレーンのスコーンとよく似ていますが、動物性油脂のバターを使うスコーンに比べて植物性油脂のショートニングを使うビスケットは油気が少なくあっさりしているのが特徴です。
日本には南蛮菓子の“ビスカウト”として長崎県の平戸に伝来し、黒船来航の際に日本人に振る舞われた際には好評だったようです。
ビスケットに関する記述が登場するのは、幕末に長崎で開業していた医師である柴田方庵の日記であり、水戸藩からの依頼を受けビスケットの製法をオランダ人から学び、1855年にその製法書を送ったことが書かれています。
1877年に開催された内国勧業博覧会に合わせて“乾蒸餅”という日本語訳語が当てられたのですが、第二回内国勧業博覧会で最高位の“進歩二等賞”を得た米津風月堂の米津常次郎は“舶来の大機械をもって苦心のあげく作り上げたビスケットに乾蒸餅なんて名をつけた役人どもの非常識に呆れ返った。せっかく最高賞を得たがこれじゃ宣伝する気にもなれない”と憤慨したというエピソードがあります。
現在では大手の菓子メーカーから様々なビスケットが販売されていますが、見た目だけでクッキーとの見分けをつけるのは難しいかもしれません。
ですが日本では“ビスケット類の表示に関する公正競争規約”というものが1971年から施行されており、その定義がきちんと決められています。
この規約において“ビスケットとは小麦粉、糖類、食用油脂および食塩を原料とし必要により澱粉、乳製品、卵製品、膨張剤、食品添加物の原料を配合し、または、添加したものを混合機、成型機およびビスケットオーブンを使用し製造した食品である”と定義されています。
また、“クッキーとは手作り風の外観を有し、糖分、脂肪分の合計が重量百分比で40%以上のもので、嗜好に応じ、卵、乳製品、ナッツ、乾果、蜂蜜などにより製品の特徴づけを行って風味よく焼き上げたもの”となっています。
クッキーの方がその比率について明示されており、これは当時の日本においてクッキーはビスケットよりも高級品だと思われていたことが関係しているようです。
安価な“ビスケット”を高級品である“クッキー”と表現するのは、消費者を誤認させる恐れがあるとの判断から定められたのがこの規約になります。
ただし、この規約は日本ビスケット協会によるあくまでも自主ルールであるため、協会に加盟していなければこれに従う必要はないようです。
ですので規約があるとはいえ、イマイチはっきりしないのも事実ですので深く気にする必要はないかもしれませんね。
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