くしの日
「くしの日」は「く(9)し(4)」の語呂合せで、美容関係者らが1978年に制定、美容週間実行委員会が実施しています。
美容関係者がくしを大切に扱い、また、美容に対する人々の認識を高めてもらう為に制定されたようです。
スピリチュアルな力を持つとされていた櫛
“櫛(くし)”は髪を梳(と)いて髪型を整えたり、髪を飾ったりする道具で、英語では“コーム(comb)”と呼びます。
櫛の歴史は古く、現代のヘアピンに近い単純なつくりのものを含めると、かなり時代を遡ることになり、歯を備えた櫛は古代エジプトで既に広く使用されていたと考えられており、日本においても縄文時代早期(約7000年前)のものとみられる木製櫛が佐賀市の東名遺跡から出土しています。
素材は、獣の骨や木材一般から、より櫛に適した木(ツゲ、マユミなど)や竹、鼈甲、象牙、金属、合成樹脂製などへと多様化し、形状や美しさもより高度なものへと発展してきました。
日本では伝統的にツゲ櫛が高級品とされていますが、現代では、理髪店などで利用者ごとに取り換えられる安価な量産品も存在します。
日本語で櫛は同音の串と同じく、“霊妙なこと、不思議なこと”という意味の“奇(く)し”、“霊(くし)び”が語源となっており、このため呪術的な意味付けが見られ、他方では女性が髪を梳くことから女性格の象徴的な物品としても扱われました。
語の読みからは“苦死”に通じるため、道に落ちている櫛を拾うことは“苦と死を拾う”ことにつながり、縁起が悪いことと忌み嫌われており、どうしても拾わなくてはならない時は、足で踏んでから拾うとされてきました。
贈り物にするときは、忌み言葉として“かんざし”と呼ばれることもあります。
古来より、櫛は別れを招く呪力を持っているとされ、現代の日本人でも櫛を贈答品にしたり、気軽に貸し借りしたりするのを嫌がる人は少なくない。一方で、魂の宿る頭に飾るものであることから、自らの分身として旅立つ人に手渡しされたこともあるようです。
櫛にまつわる伝承は世界各地にあります。
“古事記”でイザナギは妻のイザナミが差し向けた追っ手から逃れるために、櫛の歯を後ろに投げ捨てたところ、筍に変わったとされており、同じく“古事記””で大蛇を退治しに出向くスサノオはクシナダヒメを櫛に変えて自分の髪に挿しました。
ドイツの童話の中には“白雪姫”のように、櫛が女性の生命活動を一時的に停止できる(気絶させたり、金縛りにしたりする)黒魔法の道具として登場することもあるようです。
古代中国の一部の呪術者の中には、“捜神記”の于吉のように体を洗わず、髪に櫛を入れないことで雨乞いをする者もいました。
このように古来より櫛とはただの道具ではなく、呪(まじな)いなどに使われるなど霊的な力をもつものとされてきました。
現代でよくみる安価なコームではそうは思えませんが、家に代々伝わる櫛なんてものがあればぜひ大切にしましょう。
もしかすると何か悪いものから守ってくれるかもしれません。
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