日本刀の日
「日本刀の日」は「とう(10)しょう(4)」という語呂合わせで、岡山県岡山市の本部を置く「全日本刀匠会」が制定しました。
「全日本刀匠会」とは現在では伝統美術工芸品である日本刀の刀剣製作技術の研究や開発、新作の刀剣の普及活動などを行っている団体であり、この日は「日本刀に対する正しい知識を広め、美術品としての美しさや文化的な価値、継承していくべき技術の大切さを伝える」ということを目的としているそうです。
日本刀よりも包丁の方がよく切れる
刀剣類は日本では古墳時代以前から製作されていましたが、一般に“日本刀”と呼ばれるものは平安時代末期に出現してそれ以降主流となった反りがあり刀身の片側に刃がある刀剣のことを指し、寸法により刀(太刀・打刀)、脇差、短刀に分類されます。
古来から武器としての役割と共に、美しい姿が象徴的な意味を持っており、美術品としても評価の高い物が多く、古くから続く血統では権威の証として尊ばれていました。
“折れず、曲がらず、良く斬れる”の3要素を非常に高い次元で同時に実現させるため、日本刀の原材料となる鋼の製法、選定、刀剣の鍛錬には古来より多くの刀工が工夫を重ねており、今日においては古くから伝わる卸鉄(おろしがね。鉄材を再還元して刀剣用に供する鋼を造ること)や自家製鉄した鋼を用いる刀工もおり、日本固有の伝統技術として継承されています。
日本の包丁の切れ味を海外の方が“日本刀のような切れ味”と表現することはよくあり、ヨーロッパなどで使用されていた剣と比べても、日本刀は非常に優れた切れ味を有していました。
ヨーロッパの剣はどちらかといえば相手を“叩き潰す”という用途で使われており、刃の部分を持って柄の部分で相手を殴るという使われ方もしていたという記録も残っています。
日本刀は芸術工芸品として認知されていることから、日本の包丁の性能を褒め称える表現として用いられているのでしょう。
古来より日本人は人種的に体格に恵まれておらず、力も弱かったため、非常に重い刀剣を長時間振り回すことは難しかったと考えられ、このため日本では刀剣の切れ味に重点が置かれるようになり、日本刀は独自の進化を進めていくことになります。
切られたことに気づかないほどの切れ味の表現や、刃先の手入れに使用する和紙を触れただけで切断してしまう表現などは皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
明治時代の廃刀令が発令されるまで各地で日本刀は製造されていましたが、この廃刀令により刀匠は日本刀ではなく包丁や鎌などの刃物類への製造に注力していくようになります。
終戦後GHQの指導により日本刀の製造は禁止され、現在では日本刀を製造するには国からの認可が必要であり、日本刀が製造できる一部の刀匠にのみ製造法が伝承され、美術品や工芸品としての側面が強くなっているのが現状です。
この日本刀の製造には非常に大きな縛りがあり、これは昔ながらの製法を変更してはいけないというもので、多々良で精錬した玉鋼(たまはがね)を、鍛造により鍛錬し日本刀に仕上げていきますが、このため根本的な切れ味や硬度の向上、錆びに対する耐性などの性能を上げることができないのです。
時代の技術進歩とともに材料の製法や製法を進化させてきた包丁のほうが実際は性能が高く、“絶対的に日本刀より包丁のほうが切れる”という刀匠もいます。
ですが包丁も庖丁刀と呼ばれていた時代から、日本刀の進化とともに性能を上げてきた道具であり、日本刀の進化無くしては包丁の技術も確立しなかったといえます。
現代では美術品としてよく日本刀の展示会などが開催されており、触れる機会は多々あります。
また“銃砲刀剣類取締法”という法律のために一般に良く誤解されますが“刀剣類”は“銃”と異なり武器ではなく、“文化財”として扱われますので所有に対して実は何の制約もありません。(登録証は必要)
興味があれが一振所持してもいいのではないでしょうか。
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