トイレの日
「トイレの日」は「い(1)い(1)ト(十)イレ」の語呂合せで、日本トイレ協会が1986(昭和61)年に制定しました。
日本トイレ協会この日に「トイレシンポジウム」を開催し、公衆トイレを対象とした「グッドトイレ賞」を発表しています。
また「浄化槽設備の普及拡大や公衆トイレの環境整備の啓蒙」ということをその目的としているようです。
中世ヨーロッパの意外なトイレ事情
“トイレ”とは大便・小便の排泄の用を足すための設備を備えている場所のことで、便所、お手洗いなど様々な名称があります。
トイレでは放置すれば病原菌や不快害虫の発生源となりやすい汚物を衛生的に処理するため、様々な工夫が凝らされています。
現代は先進国になっている国でも、かつて便所で排泄された汚物は河川にそのまま流される様式が大多数でした。
しかし都市部では人口の集中によって汚物が自然の浄化能力を超えて発生する事から、水質汚染(富栄養化)を発生させてしまい、このため便所は下水道に接続され、各々の家庭・施設に備えられた便所から排出された汚物を汚水として一括処理する社会インフラも必要となり、整備されてきました。
かつては糞便は重要な有機堆積物と見なされたこともあり、日本では肥料として売り買いされ、そのために肥だめが作られていました。
便器の下を豚小屋とし、飼育している豚に糞便を食べさせた豚便所はかつての日本にも存在し、同様に糞便が直接、あるいは豚便所からの流れに池を作り、そこで魚を育てた例もあり、現代でも中国やベトナムの地方で見られるそうです。
ですが世界各地でそうした有効利用がされてきたわけではありません。
古代ローマでは水流トイレは使われていましたが、中世ヨーロッパには受け継がれずトイレ文化には退化した時代になります。
キリスト教の排泄は恥ずかしい行為という観点から、トイレはベッドと同数あるべきという教えがあったものの、それが実現できたのはごくわずかの上流階級だけであり、弱小貴族や一般大衆はおまるを使用していました。
部屋の中の出窓のように拡張された一角で、目隠しのついたてなどした中でおまるを使い、排泄物は“水に気をつけて”の声を出してから窓から通りに投げ捨てられていたのです。
そのため路地は汚物だらけであり、汚物で衣裳の裾が汚れないようオーバーシューズやハイヒールが発明されたり、街頭から建物の中に入るのに段差をつけたりといったしきたりが始まったとされています。
また貴族の館やフランスのヴェルサイユ宮殿などではトイレがなく、広大な庭園のバラ園など花壇が用足しの場所でした。
“ちょっと花を摘みに”という女性の用足しの隠語はこれに由来しています。
貴族の女性の大きなフレアの広がりのあるスカートは、そのまましゃがんで他人から見られることなく、用を済ませるための工夫でもあったとされ、日傘は上から降ってくる汚物避けであり、悪臭をごまかす為に使われたのが香水です。
信じられないような話ですがこれが普通の時代であり、宮殿の回廊の一角が汚物で埋もれているなど日常の光景だったとされています。
こうした不衛生きわまる社会的インフラの不幸な結果がコレラやペストの大流行でり、以降、公衆衛生学の発展と共にこうした実情は徐々に改善されていきました。
現代では水洗トイレの普及などにより、衛生的な環境が保たれています。
日本ではもはや一般的なウォシュレットですが世界的に見ればかなり珍しいもので、来日した映画俳優やアーティストが複数購入していったという話もあるほどです。
トイレには排泄物を受け止めてくれる神様もいますので、きちんと清潔にしておきましょう。
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