飛行船の日
「飛行船の日」は1916年のこの日に初の国産飛行船である陸軍の「雄飛号」が所沢~大阪で実験飛行を行ったことが由来です。
「雄飛号」は所沢を離陸した後にそのまま大阪へと飛行を続けたわけではなく、4時間をかけて途中の燃料補給地点である豊橋に着陸し、燃料補給後、豊橋を離陸して大阪へと向い5時間後に無事に到着しました。
「雄飛号」の機体は全長75m、幅25mという大型の飛行船だったため、着陸をする際に100名の兵士が機体を引き下ろす様子はまるでクジラ漁のようだったと伝えられています。
通過地点の関ヶ原は風が強く吹く多くの山々が連なっていたため航行の難所とされ、山のすれすれを飛行しなければならず、かなりの操縦技術が必要だったそうです。
飛行船
“飛行船”とは空気より比重の小さい気体を詰めた気嚢によって機体を浮揚させ、これに推進用の動力や舵をとるための尾翼などを取り付けて操縦可能にした航空機(軽航空機)の一種です。
機体の大部分を占めるガス袋(気嚢)に水素もしくはヘリウムが充填されており、通常ガス袋は空気抵抗を低減させるため細長い形状をし、乗務員や旅客を乗せるゴンドラやエンジンおよびプロペラなどの推進装置が外部に取り付けられている他、機体後部には尾翼があり、方向安定を得るとともに取り付けられた舵面を動かして船体の方向を変えます。
20世紀前半には大西洋横断航路などで旅客運行に多く従事していましたが、1937年に発生した“ヒンデンブルク号”の爆発事故を契機に水素利用の飛行船の信頼性は完全に失墜し、そのまま航空輸送の担い手としての役割を終えることになります。
なぜ燃えやすい水素が使われていたのかというと、当時ヘリウムはアメリカでしか生産されておらず、アメリカがナチス・ドイツへのヘリウムの供給を拒否したため、爆発の危険を冒しながらも水素ガスを利用していたのです。
その後は広告宣伝用や大気圏の観測用等として、不燃性のヘリウムガスを利用した飛行船が小規模に使われているのみです。
利用されなくなって久しい飛行船ですが、近年では新たな活用法も考案されています。
天然ガスの運搬用や、地上局・人工衛星と並ぶ第三の情報通信網として大型無人飛行船を停留させ、無線通信の基地局として用いる“成層圏プラットフォーム”が該当しますがどちらも現在のところ実用には至っていません。
ただしその体積の大きさから広告としては活用するには十分インパクトもあり、2010年〜2016年では当時の“アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー 日本支社”が通称をアリコジャパンから“メットライフ アリコ”へと改名することをPRするため、ブランド名とスヌーピーを掲げた飛行船を日本国内で飛ばしたりもしていました。
かつては国内でも自社保有の飛行船を運航して広告宣伝・航空撮影・地質調査・測量の他、遊覧飛行などの事業を行っていた会社もありましたが現在は存在しないので、日本で飛行船による遊覧飛行を体験するのは残念ながら不可能です。
ですがドイツでは遊覧飛行をやっている企業がありますので、もし海外旅行でドイツにいくことがあれば検討してみてはいかがでしょうか。
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