鮭が生まれた川に産卵しに戻るのは有名ですね。
これを“母川回帰”と言います。
広い外洋に出た鮭はなぜ母川回帰することができるのでしょうか。
諸説ありますが、生まれた川のにおいを覚えているという説が有力です。
鼻詰めされた鮭は生まれた川へ帰れなくなったという実験結果もあります。
川のにおいとは、数十種類のアミノ酸の組成によって決まるそうです。
鮭は生まれた川の近くまでは地球の磁気や太陽の向きなどを頼りにやってきます。
鮭の嗅覚は人間の想像を上回る能力があり、川口から160~320km離れた沖合いでも母川の匂いを感じとることができるのだそうです。
また鮭には水の環境がかわっても、体内の塩分のこさが変わらないよう浸透圧調節できるはたらきが「エラ」などにあるため、海水でも淡水でも生きられます。
こういったシステムは、ホルモンによって行われており、鮭や鰻などの両領域を行き来する物では特に重要な機能で、鮭などは河口等の汽水域で塩分濃度の変化を察知し、しばらくそこに留まって体のシステムを変化させてから遡上を開始します。
この浸透圧調節をして海水適応能力を持つための準備を行うことを“銀毛化”といい降海型魚類特有の変化です。
ちなみにその時期の川を遡上する前の沖合で採れる鮭を”銀鮭“といい、脂がのっておいしいとされています。