アマチュア無線の日
「アマチュア無線の日」は1952年のこの日、戦中に禁止されていたアマチュア無線が解禁され、全国の30人に無線局予備免許が交付されたことから、日本アマチュア無線連盟が1973年に制定しました。
アマチュア無線とは、あくまで「アマチュア」のものであるため、個人的な興味の範囲内で行う自己訓練、通信などの無線技術研究のことを指します。
電波を運用するという性質上、無線従事者という資格と電波法に基づいてアマチュア局の許可を取る必要があります。
アマチュア無線が解禁されてからはアマチュア無線人口が増えていき、ピークであった1980年代には世界最大のアマチュア無線人口を誇っていたそうです。
また関連した記念日として4月18日が「世界アマチュア無線の日」となっています。
無法状態から始まった無線の歴史
マルコーニが最初の無線通信に成功したのは1896年のことで到達距離は、わずか6〜7キロメートルでしたが、その後の急速に性能が向上し、2年後には105キロメートル離れた海上の船舶との通信に成功、一挙に実用化に向かいました。
画期的な通信技術としての無線は、陸上よりもむしろ船舶のための通信手段として注目され、1902年には無線装置を搭載した船は70隻に達し、その後も急激に増え続けます。
その一方で混乱も生じることになりました。
この時期、無線に関する国際規約はまだ何もなく、いわば無法状態であらゆる周波数が使い放題だったのです。
通信士同士の雑談が長時間にわたり貴重な周波数帯域を独占することもまれではなく、船舶からの遭難信号や危険信号にも優先権はありませんでした。
かの有名な1912年のタイタニック号の事故では、事故発生の数時間前に付近を航行中の小型客船が大浮氷原を発見、それを無線で伝えます。
しかしタイタニック号の通信士は乗客のための電報処理に手一杯でこの通報を無視、これが歴史上空前の海難事故の一因とされています。
マルコーニ自身も混乱を生んだ一人でした。
商業無線の独占を図った彼は、自社の無線装置を積んだ船には自社の通信士を配置し、他社の装置を使う局との交信を一切禁じていたのです。
こうした混乱を是正すべく1912年にロンドンで開催された第2回無線通信会議では、すべての船舶はその無線方式のいかんを問わず相互に通信することが義務づけられました。
さらに1914年にロンドンで採択された最初の“SOLAS条約(海上における人命の安全のための国際条約)”では、50名以上の乗客を乗せた船舶は100海里以上到達できる無線機を積むことや、遭難信号の傍受と受信後の救助活動などが義務づけられます。
画期的な先端技術も、それを運用するための知恵がなければ無用の長物であり、無線通信における初期の混乱とそれを是正するための国際ルール確立の過程は、さまざまなハイテクメディアが錯綜する現代社会にとっても、まさに参考にすべき事例といえるかもしれません。
また、このタイタニック号の事故で受信と送信を同時に行うことの重要性が分かり、会話のできる無線機を開発するきっかけとなりました。
タイタニック号沈没ニュースは、アマチュア無線家によって世界中を駆け巡りますが、中には“全員生存”や“タイタニック号が港に到着”など誤った情報も多く含まれていたのです。
アメリカ政府は情報の混乱を避けるため、アマチュア無線家に対して遠くまで届く電波の使用を禁止しました。
するとアマチュア無線たちは、そんな規制にもめげず遠くまで情報を発信するための画期的なシステムを考案します。
彼らは短い電波でも中継させる事で遠くの相手とやり取りするシステムを考えたのです。
いくつもの基地局をリレーする事で世界中の相手と通話できる、タイタニック号の事故をきっかけにアマチュア無線家たちは、100年以上前に携帯電話ネットワークの基礎を考案していたことになります。
そして1973年にアメリカのモトローラ社が世界で初めての携帯電話端末を生み出しました。
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