日本酒の日
「日本酒の日」は新米で酒造りを始めるのが10月で、酒壺を表す「酉」の字は十二支の10番目、さらにかつては「酒造年度」が10月1日から始っていたことから(現在は7月1日から)、何かと酒に関係の深いこの日を清酒をPRする「日本酒の日」とし、1978(昭和53)年に全国酒造組合中央会が制定しました。
清酒をPRする目的や、若者の日本酒離れを食い止める為に制定したそうです。
日本酒造りの大敵は納豆
“日本酒”とは通常は米と麹と水を主な原料とする清酒を指すし、日本特有の製法で醸造された酒で醸造酒に分類されるものです。
日本古語では“酒々(ささ)”、仏教僧侶の隠語で“般若湯(はんにゃとう)”、江戸時代には“きちがい水”という別称でもよばれ、一部では“ポン酒(ニッポンの酒であることからニッポン酒の略称)”と呼ばれることもあるようです。
日本列島に住む人々がいつ頃から米を原料とした酒を造るようになったのかは定かではありませんが、稲作、とりわけ水稲の耕作が定着し安定して米が収穫できるようになってからのことであるとされており、米を原料とした酒であることが確実な記録が日本に登場するのは西暦700年頃になります。
“延喜式(927年(延長5年))”という律令の施行細則には宮内省造酒司の御酒槽のしくみが記されており、すでに現代の酒とそれほど変わらない製法でいろいろな酒が造られていたことが判明しており、なかでも“しおり”と記される製法は、現代の貴醸酒が開発される基になりました。
その後、近代の戦争による産業期待の低迷、バブル景気による復活などを経たものの、2000年代から顕著になっているのが、日本酒に限らず酒類一般の消費習慣から離れるアルコール離れといわれる現象でああり、これは日本に限らず世界でも同じ傾向があるようです。
ですが世界的な健康嗜好から日本食ブームが興り、これに伴って吟醸酒ブームの中心は日本ではなくアメリカ・フランスを中心とした海外に移ったと言われ、ニューヨークやパリなどでは食前酒として日本産の吟醸酒を飲むのがトレンドとされている向きもあります。
むしろ世界市場においては日本酒の高品質が評価され始め日本酒の輸出量は年々倍増しており、日本の水や技術でしか作れない吟醸酒に代表される高級酒が日本からの輸出の中心となっています。
国内でも最近では蔵元の見学ツアーなど多く存在し、日本酒造りの現場を見る機会は増えてきました。
ですが、本来酒造りというのは麹菌や酵母という目に見えない生き物の力を利用するという、非常に繊細な神経を使う仕事でもあります。
多くの酒蔵では見学の際には朝に納豆やヨーグルト、漬物、それに果物などを食べるのを控えるようにという趣旨のお願いがされることがありますが、これはむしろ禁忌といえるレベルのことなのです。
というのもこれらの食品にはそれぞれ特徴を持った菌がたくさん生育しており、これが日本酒にとっての命といえる麹菌や酵母に悪影響を与え、結果として粗悪なお酒しかできなくなってしまいます。
例えば納豆ですが、納豆には枯草菌(こそうきん)という菌が含まれています。
この枯草菌は非常に強力な菌で、麹造りの際にこの菌が混入して繁殖条件が満たされると、麹は納豆のようにネバネバになってしまい、日本酒造りに必要な酵素がほとんど生まれずもはや麹作りはできなくなってしまいうほどです。
枯草菌が厄介なのは、生育に適した温度や湿度、必要とする栄養源などが麹菌とほぼ同じだという点であり、しかも、麹菌と枯草菌が戦うと必ず枯草菌が勝ちます。
麹のために整えた環境は枯草菌にとっても生存に最適な環境なので、麹室に枯草菌が入り込むということはまさに死活問題なのです。
ですので酒造りの期間中には蔵人たちは完全に納豆を絶つという酒蔵も多くあり、半年間に及ぶ酒造りを終えて春に食べる納豆ご飯が世界で一番美味いという蔵人もいるそうです。
近年の納豆菌は清潔な製造環境での使用を前提として純粋培養されたものですから、野生の菌よりは弱く昔に比べると汚染の心配も少なくなっていますが、万が一ということもありますし、伝統的に避けてるのが風習として残っています。
他にもヨーグルトに含まれる乳酸菌類や、ミカンなどの柑橘系の果物の場合は皮の裏側に青かび菌、柑橘類自体の酸もよくありません。
禁止されるのはそれ相応の理由があるからですので、清酒のクオリティの維持のためにも見学する際はきちんとマナーを守って見学することをおすすめします。
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