缶詰の日
「缶詰の日」は1877(明治10)年のこの日に、北海道開拓使が北海道石狩町に鮭の缶詰の工場を設置し日本初の本格的な缶詰の製造が始ったことが由来で、1987(昭和62)年に日本缶詰協会が制定しました。
ですが明治時代に製造された缶詰については基本的には国外への輸出向けであったり、国内でも軍需用のものであったため、一般家庭にはさほど定着しませんでした。
缶詰が庶民的なものになったのは大正時代以降のことであり、1923年に発生した関東大震災の影響でアメリカから支援物資として缶詰が送られたことがきっかけとなって、缶詰は庶民に浸透するようになったのです。
かつて缶詰を開けるときはハンマーとノミを使っていた
“缶詰”とは長期保存に適するよう調理した食品を金属製容器(缶)に入れて封をし加熱処理をしたもので保存食の一種であり、広く金属缶に封入した製品をまとめて指すこともありますが、乾燥食品などの製品を単に金属缶に詰めて密封したものは“缶入り”と呼ばれ一般の缶詰とは区別されます。
缶詰は基本的に調理済みなので、開けてすぐ(または湯煎等による簡易な加熱などのみで)そのまま食べることができ、開けてすぐに食べれば食中毒を引き起こす可能性も極めて低いです。
ただし、通常、固形物は調味液とともに封入する必要があるなど、製造工程に由来する弱点もありどんな食品でも保存できるわけではありません。
例外として、あえて殺菌をせずに缶の中で発酵させるシュールストレミングという缶詰も存在します(日本では規格上、缶詰ではない)。
その製法により缶詰食品は“魚の缶詰は骨まで柔らかく食べられる”、“果物の缶詰はシロップの味が全体にいきわたっている”など独特の味わいが生まれるため、デザートに敢えて生の果物ではなくフルーツ缶を用いる例や、おつまみ・おかずの缶詰をそろえた“缶詰バー”が開かれるなどの動きも出てきています。
缶詰は欧州で生まれたものになり、遠征における食料補給の問題に悩まされていたナポレオン・ボナパルトによる懸賞に応える形で、1804年にフランスのニコラ・アペールにより長期保存可能な瓶詰めが発明されましたが、ガラス瓶は重くて破損しやすいという欠点があった事から、1810年にイギリスのピーター・デュランドが金属製容器に食品を入れる缶詰を発明しました。
これにより食品を長期間保存・携行することが容易になったのですが、初期のものは殺菌の方法に問題がありたびたび中身が発酵して缶が破裂するという事故を起こしていました。
また、密封用のはんだに鉛が多量に含まれており、食べた人が鉛中毒で死亡する事故もあったようです。
日本では特殊な缶詰として陶器製の缶詰が開発されたことがあります。
第二次世界大戦時の金属供出を受けて開発された陶製代用品にも缶詰が含まれており、蓋付きの陶製容器をゴムで密封したものが“防衛食”という名称で当時は多く流通しましたが、缶詰にする食料自体が欠乏しやがて製造は打ち切られました。
なお、戦後60年以上経過したものを開封してみても中の食品の品質に問題はなかったそうです。
近年ではプルトップ式などの缶詰も多く、缶切りが不要の製品も多く存在し、缶切りの使い方がわからな人も出てくるほどです。
確かにイージーオープンエンドの製品に比べ、缶切りは面倒くさいかもしれません。
ですが缶切りも登場したときはかなり画期的なものでした。
というのも缶切りが登場したのは缶詰が発明されてから50年ほど後のことで、それまではハンマーとノミで開封していたのです。
当然手間がかかる上、中身は固形のものに限られており、銃で撃って開けていたこともあったようで不便極まりないものでした。
缶切りが登場してからは、中身がスープ状のものも出てきたようです。
近年の調査ではレトルト食品などの売り上げが伸びており、缶詰の消費量は若干減少傾向にありますが、品質は年々向上しています。
あと一品なにか追加したい時にも便利ですので、缶詰製品だけで一食済ませてみる、なんてのもおもしろいかもしれませんね。
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