髪の毛は“螺髪(らほつ)”といって三十二相八十種好の一つである毛上向相(もうじょうこうそう)を表現したもので知恵の象徴でもあります。
螺髪の「螺」は巻貝のことで、仏像によってその数は異なりすべて右巻きになっています。
三十二相八十種好は悟りを開いた仏の特徴を現したものであるため螺髪が見られる仏像は如来像に限られます。
鎌倉大仏だけ左巻きですが理由はわかっていません。
額の丸いものは白毫(びゃくごう)といい、仏(如来)の眉間のやや上に生えているとされる白く長い毛です。
右巻きに丸まっており、伸ばすと1丈5尺(約4.5メートル)あるとされています。
三十二相の31番目であり、白毫相、眉間白毫相ともいいます。
また両の手には水かきがありこれは“曼網相(まんもうそう)”といいこれも三十二相の一つです。
苦しみに悩み喘いでいる人間を両方の手で、水も漏らさぬように救い上げる、慈悲の姿を表したものだそうです。
もしくは苦行の現れという説もあります。
悟りを得るためには厳しい修行が必要で、荒れた道でも突き進み、山を越え谷を渡り、海原を泳ぎきらなければならないと考えられています。
しかし途中で力尽き溺れてしまうこともあるので、悟りを開くというのは非常に難しいこととしてとらえられてきました。
手の水かきはこうした苦行を乗り越え、大きな海原も泳ぎきった者の証ということを意味しているのです。