楽器の日
「楽器の日」は昔より芸事は6歳の6月6日から始めると上達すると言われていることから、1970年に全国楽器協会が制定しました。
6歳になると芸事が上達するとされているのかというと、ちゃんとした由来が存在しています。
人間が指を使って数を数える時には、1〜5までは親指から順番に指を折り曲げて閉じていきますが、折り返しを迎える6という数字の時には小指から順番に指を立てていくような数え方になります。
このように「6」という数字の時には小指が立つことから「子が立つ」と言われていて、6歳から習い事を始めると上達が早くなると言い伝えられているのです。
誰もが触れたことがあるあの楽器
日本人なら誰でも子どもの頃に習う楽器があります。
“リコーダー”です。
この“リコーダー”がかつて絶滅しかけていた楽器だということはあまり知られていません。
“リコーダー”は音楽の世界では “古楽器” 扱いです。
縦笛の中でももっとも普及しているリコーダーは、中世ヨーロッパで完成しました。
バロック期前半の17世紀には現在用いられるものとほぼ同じ形に完成され、この時代には重要な楽器となります。
ソナタや協奏曲の独奏楽器として、また管弦楽群の合奏楽器として、数々のリコーダーのための作品が作られました。
バロック時代、アルトリコーダーはヴァイオリンやオーボエ・フルートなどとならぶ、花形独奏楽器であり、ヘンデルやバッハ、テレマンといった多くのクラシック音楽の作曲家がリコーダーのための名曲を書き残しています。
しかし音量が小さいこと、音の強弱がそのままピッチに影響すること、発音が容易であることの裏返しとして音色の表情をつけにくいことなどから、バロック期後半の18世紀頃からは次第に現在のフルートの原型であるフラウト・トラヴェルソに主流の座を奪われ、古典派音楽に至っては全く顧みられなくなりました。
楽器としての表現力の乏しさから、演奏者は減少し、一度は絶滅寸前になってしまいます。
その後ドイツのペーター・ハルランが、ハ長調の演奏が容易なジャーマン式運指のリコーダーを製作します。
低い音がなりやすく、安価だったハルランのジャーマン式は大量生産が続けられ、ナチスが台頭して音楽や教育を支配するようになると学校教育に使われるようになっていきます。
1936年、ベルリンオリンピックが開催され、その祭典の中でもリコーダーが演奏されましたが、この時観客の中に一人の日本人がいました。
当時ドイツに留学をしていた坂本良隆という人物です。
彼は大勢の子どもたちが奏でるリコーダーの演奏に感銘を受け、またそこに教育的価値を見出し、ソプラノ、アルト、テナーを日本に持ち帰りました。
教育楽器の条件としては、小学校低学年の児童の小さな手でも取り回しが楽で安全に扱えること、教科書に載っている簡単な曲が演奏できること、合奏が可能であること、価格が高すぎず調達も容易であること、壊れにくくメンテナンス(湿気対策など)も簡単であることなどがあり、リコーダーはそれを満たしていたのです。
多くの方は、小学校ではジャーマン式の“ソプラノリコーダー”、中学校ではバロック式の“アルトリコーダー”を習ってきたと思われますが、運指が簡単な代わりに音程の悪いジャーマン式リコーダーを使っているのは世界でも日本くらいのもので、この楽器がナチスに政治利用された経緯もあり、ドイツ人は“ジャーマン式”と言われることを嫌っているという話も存在します。
ハ長調全音階のみを出す場合には“ジャーマン式”の方が簡単なのですが、半音や調の違う音階、高音を出そうとすると“バロック式”の方が優れているそうで、一部の小学校では“バロック式”を採用しているところもあるそうです。
すべての管楽器の原型といわれるリコーダー。
愛らしい音色は子どもたちの情操教育適しているため、世界中で音楽教育に積極的に採用されています。
アルトリコーダーは、日本のみならずヨーロッパやアメリカなどでも教育に適した楽器として普及しているようです。
またリコーダーのプロ奏者も存在しますので一度聴いてみてはいかがでしょうか。
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